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     納蘭性德 《夢江南》 銀字笙調,心字香燒

    何日歸家洗客袍,銀字笙調,心字香焼
         蒋捷《一剪梅舟過呉江》


      この冬は雪が美しくも厳しい相貌をみせた。
      我が家の庭(といっても,ベランダのようなもの。
      洗濯物を干す空間なのだが,
      マンションのたまたま一階なので,屋根のないところに黒土を山ほどしきつめて
      ・・・・そこにむりやり木を植えている一坪もない庭もどき)。
      そんな空間に,紅梅と沈丁花を植えている
      また,同居人がユスラ梅と,ハーブをあれこれ植えている
      そして都會のど眞ん中にもかかわらず,實のなる時期にもなると,
      ユスラ梅の實をついばみに鳥がワンサカやってくる・・・・不思議な庭もどき。
      その紅梅はいまだ蕾ひらかず。春告鳥いまだ鳴かず。
      同じような時季かもしれない,納蘭性德の,江南を憶う,という詞。


    《憶江南》 納蘭性德
      

      《憶江南》  “Yì jiāngnán” 


     昏鴉盡         Hūn yā jǐn
     小立恨因      Xiǎo lì hèn yīn shuí
     急雪乍翻香閣絮   Jí xuě zhà fān xiāng gé xù
     輕風吹到膽瓶   Qīng fēngchuī dào dǎn píng méi
     心字已成     Xīn zì yǐ chéng huī

        平聲七 灰 誰梅灰 


    *膽瓶=長い首,太い腹の花瓶
    *香閣=若い女性の居室
    *心字=お香のことだろう沈水香の一種にある


    清乾隆窯銅紅釉粉彩梅花膽瓶
    大意;
    夕暮れに鴉は
    飛び去ってゆき
    さびしく立ちすくむのは
    誰。誰がため。
    柳絮のような雪風が
    香閣にふきつけて,
    花瓶にいけた梅を倒す
    “心字香”は既に灰。

    (間違いはご指摘ください)

    右の花瓶が膽瓶。
    清,乾隆の時代の
    “銅紅釉粉彩梅花膽瓶”
    國立故宮博物院(台北)収蔵



     



      なんといっても。心字已成灰 美しい結句である。
      心字香がおくぶかい。
      お香を燻べた後の灰が心の字を篆したようだ,というような佳話があるのだろう
      沈香の一。
      また
      真誠敬虔の心もて佛に供える,その焚香を心香という。佛語らしいが。
      龔自珍の 《南歌子》
      “紅泪彈前恨,心香警舊盟”
      を思い浮かべる。
      うふうたまらないな。

      花では一番すきなのが梅,香で最も好きなのは沈香,
      鴉も大好き,
      というわけで・・・・。

      淸の 納蘭性德
      順治十一(1655)年に生まれる。字は容若,號は楞伽山人。 
      康熙二十四(1685)年三十一歳で殀逝する。
      満洲正黄旗人,皇族であるが文武兩道。
      彼の文藻は純任性靈,纖塵不染,凄清哀婉などと評される。
      とくに詞曲にたくみで,典型的な截花作骨,天性の詩人だろう。
      雑言(古詩で七言という)の樂府,詞曲は。
      なんとも繊細で,うっとりするような美しさ。
      詞曲ならではのみずみずしさ。
      貴人ながらにして顛沛流離。
      流麗,流暢だが天涯に身の置き處あるか,といった不安げな,詩情。
      そして流水桃花,戀こころを,冰水相逢,有情無縁のはかなさをうたう。

      彼の詞曲集 『飮水詞』から とくに愛好するものを。
      慷慨詩ばかりで戀のうた,情詩のほとんどないこのブログだが・・・・たまには。
      春はもうそこまで來つつ,あしぶみしている。


      納蘭性德については
      こちらも ☞ 納蘭性德《長相思》  納蘭性德『飲水詞』全曲集
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    Author:詩囚

    自作の詩ほか
    五言絶句を中心に四句偈,詩餘
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